J.D. ロブ 『不死の花の香り―イヴ&ローク3』

不死の花の香り―イヴ&ローク〈3〉
 近未来のNYで刑事をするイブと、謎の富豪ロークとのサスペンス・ロマンスの3冊目。
 前巻の最後で、ロークのプロポーズを受けてしまったイブの結婚準備から話は始まるのですが、彼女が使っていた情報屋の死、そしてイブのウェディングドレスをデザイナーとなったレオナルドの家で、トップモデルが殺されている――しかもその容疑者として、レオナルドの恋人であり、イブの親友であったメイヴィスが上がってきます。そこに加えて、1巻から見え隠れしているイブの幼少期のトラウマなども絡み、物語は複雑な様相を見せてきます。
 新種の危険な麻薬の存在、そして徐々に明らかになる被害者と容疑者たちとの間の隠れた繋がり、さらには最後の結末まで、読ませる上手さを存分に発揮した1冊と言えるでしょう。
 読んでいて少々ロークのご都合主義的なほどのキャラクターだとか、民間人に捜査状況をそんなに相談して良いのかなど、シリーズ1冊目よりも明らかにロマンス小説特有のものが目に付くようにはなっていますが、脇役までしっかりと人格を持たせた著者の力量を損なうほどのものでもないでしょう。