J・D・ロブ 『薔薇の花びらの上で イヴ&ローク13』

薔薇の花びらの上で―イヴ&ローク〈13〉
 ニューヨーク市警の警部補であるイブを深夜に呼び出した連絡は、女性がドラッグを盛られてデートレイプされた挙句に殺されるという事件の始まりでした。セキュリティカメラには、文学や芸術に造詣の深い、ハンサムで身なりの良い金持ちの若い男が、被害者の女性を意のままにするためにワインに薬を混入するところまで映っていましたが、犯人は変装をしており手掛かりの多さに反比例して中々正体を掴めません。ゲーム感覚で、女性を弄ぶことを当然と考える犯人の痕跡を、イブは夫のロークや友人らの協力も得て少しずつ辿りますが・・・。

 おそらく普通はイブとロークの結びつきだとか、部下のピーボディとマクナブのこじれたロマンスだとかが本筋なのかもしれませんが、サスペンスとしてもまずまずの出来ではあると言えるでしょう。
 ただ、読者には最初から犯人が明らかであるために、緊迫感の面では些か弱かったということも言えるかもしれません。また、犯人たちの間での歪んだ意識が生み出すゲームには、プレイヤーとしてイブたちが入っていないためか、今ひとつその傲慢さが伝わり難い部分もあったかもしれません。