かつて「少女小説」と呼ばれ、その分野の代表でもあった「コバルト文庫」をその前身である『小説ジュニア』時代からの歴史を総括し、同時に、「講談社ティーンズハート文庫」など近しいレーベルが乱立し、現在へと続くジャンルの変遷を纏めた1冊。
かつて氷室冴子、久美沙織、新井素子*1といった作家たちの作品を追いかけ、多感だった(と思う)時期に本書で扱われる多くの作品を読み耽った読者としては、とにかく懐かしいの一言に尽きます。
小説ジュニア時代はさすがに知らないものの、毎月コバルトやティーンズハートレーベルの本を何冊も読み、買わない月はないような学生時代を過ごした身としては、今改めてこれらの作品をジャンル総括として語ることで、各作家たちが時代の中で果たした役割や位置付け、いかにして現代の多様さに溢れたライトノベル、果てはネット出身のWEB作家たちの乱立へと変遷してきたのかが見えてくるという意味で、とても興味深い1冊でした。