堀川アサコ 『幻想探偵社』

幻想探偵社 (講談社文庫)
 父親の一言で、それまで打ち込んでいた野球が出来なくなり、部活を休んでいる中学生の海彦は、落し物をした同級生のユカリを追いかけて幻想探偵社に足を踏み入れます。幽霊専門のこの探偵社で、海彦とユカリは記憶喪失の幽霊であるヤンキーの大島の身に起こったことを探りはじめます。

 同じ学校に通っていたらしい大島の素性を探り出すことから始まり、心残りがあって成仏できない古書店の店主の老人や、自分はママだと言い張る幼い女の子の霊、大島が失踪した最後の日のことを何か知っていそうな元同級生など、様々な謎が最終的にはひとつの結末に向けて集束していくことになります。
 15年前というキーワードのもと、隠されていた真相が少しずつ姿を現していく展開を楽しむとともに、シリーズ読者には覚えのある登場人物がチラホラ姿を見せるのも楽しみどころとなっている作品でした。