梨木香歩 『西の魔女が死んだ』

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

周囲に馴染めず学校に行けなくなってしまった少女まい。ゆったりと自然のサイクルの中で生活するおばあちゃんと暮らすことになった彼女の魔女の修行の日々。

「扱いにくい子」という母親の言葉や周囲に馴染めずに萎縮していた少女が、「西の魔女」だというおばあちゃんと送るスローライフの中で、少しずつ自分を取り戻して伸びやかに生きていく基盤を作る期間の物語。
おばあちゃんとのスローライフはまいにとってはユートピアであるがゆえに、やがてはディストピアへとならざるを得ない物悲しさが本作にはあります。
そしておばあちゃんとの生活を終え、確かな強さを得たまいが、伸びやかに自らな未来に向けて歩いて行く結末で描かれる、凛とした姿が印象的な一冊。