三津田信三 『わざと忌み家を建てて棲む』

わざと忌み家を建てて棲む

 陰惨な事件や死に彩られた、いわくつきの家。それらを集めてひとつの建物としてつくり、中にそれぞれの家に相応しい住人を迎えたらどうなるのか。そんな歪んだ思いから作られた家があることが分かり、さらにはその記録が編集者の三間坂の祖父の遺した雑多な怪異の資料の中に紛れ込んでいることが分かります。

 『何処の家にも怖いものはいる』などと同じ世界観の作家・三津田信三のシリーズ。
 得体のしれぬ怪異の手記を読む作家・三津田信三が、手記を読み進めるに従いその怪異の元となっているものの正体に近付き、同時に手記の中の怪異が現実に侵食してくる・・・という、お得意の枠組みで描かれる作品。
 ですが、本作では怪異が完結してるわけではなく、その根源に何があるのかも明確にされているとは言えない部分が多く、どうも続編がありそうな・・・?という終わり方。
 テイストとしてはやはり好きな作品なので、続編を期待しています。