読了

 堀川アサコ 『幻想温泉郷』

死者が成仏する前に立ち寄り生きている間の善行も悪行も全て記される「功徳通帳」に帰朝してから成仏していく登天郵便局。かつてこの郵便局でバイトをしていた探し物が得意なアズサは、功徳通帳に悪行が何も記帳されず、また成仏せずに消えてしまう死者の謎…

 久住四季 『星読島に星は流れた』

数年おきに隕石が落ちてくるという、天文学者の所有の孤島で開かれる天体観測の集い。マサチューセッツ州の田舎町に住む医師である加藤盤をはじめ、物凄い倍率を潜り抜けて今年のメンバーに選ばれた7人は島へと向かいます。毎回この天体観測の集いに参加した…

 吉永南央 『糸切り 紅雲町珈琲屋こよみ』

コーヒー豆と和食器を扱う店、小蔵屋。この小さな店の店主である未亡人の老女、お草さんは、町のはずれにある商店ヤナギで買い物をしようと出掛けますが、そこで車にひかれそうになった挙句、プラスチック製のアンティークの企業のマスコット人形を破損させ…

 岡崎琢磨 『珈琲店タレーランの事件簿 5 この鴛鴦茶がおいしくなりますように』

理想のコーヒーを求め、聡明な女性バリスタ美星のいる珈琲店タレーランに通うようになったアオヤマ。彼が珈琲に傾倒するようになった裏には、孤独だった学生時代に出会ったある年上の女性の存在がありました。 これまでは語り手であり、事件からは一歩引いて…

 三津田信三 『八獄の界 死相学探偵6』

警視庁の依頼を受け、呪術で人の殺意を操る<黒術師>が主催したミステリーツアーに潜入捜査した弦矢俊一郎。バスに乗り、敵陣に乗り込んだ俊一郎は、果たして無事に生還できるのか。そして死相を視る自信の能力を使ってツアー参加者を死視したところ、運転…

 桜庭一樹 『GOSICK GREEN』

新大陸での生活を始めた一弥とヴィクトリカ。彼らの周りで起こる不可解な様々な出来事は、かつてニューヨークで銀行強盗をしたKIDの脱獄事件へと結びついていきます。 旧シリーズとは一味違って、良い意味で芝居がかった独特の雰囲気が本書にも満ちています。…

 堀川アサコ 『おちゃっぴい』

刺青彫り物師の青治、剣術市販の巴、十手持ちの桃介。三人の幼馴染のうち桃介は、ある事件で行方不明になったままでしたが、江戸を騒がす「生きミイラ」の事件が桃介を害したと思われる犯人へと繋がっていきますが・・・。 オカルトかと思ったら現実的な解決が…

 ジェフリー・ディーヴァー 『シャドウ・ストーカー 上/下』

相手の嘘を見抜く取り調べのスペシャリストのキャサリン・ダンス。休暇を利用してキャサリンは、友人で人気歌手のケイリー・タウンと久しぶりに会うことになります。ですがケイリーは、ストーカー化した熱烈なファンに怯えていました。そしてケイリーの周り…

 冲方丁 『マルドゥック・アノニマス 2』

保護証人を失ったイースターズ・オフィスは、秘密裏にウフコックを敵方に潜入させます。<クインテット>と名乗る集団では、ハンターというボスを中心に、様々な能力を持ったメンバーが、自分たちをゲームの駒にしている者たちの支配から抜け出すために、緻…

 J・D・ロブ 『冷笑は祝祭の影で イヴ&ローク40』

クリスマス直前のニューヨークで、有名フィットネスクラブのトレーナーの男性が殺害されて、彼の自宅で変わり果てた姿で発見されます。女性に対しては不誠実で、さらには裏で個人的に顧客と関係を持って金銭を得ていたこの男を殺したのは誰なのか。 ここ数作…

 三津田信三 『黒面の狐』

戦争が終わり、満州から引き揚げてきた物理波矢多(もとろい・はやた)は九州の炭鉱で働くことになります。ですが、悪質な斡旋業者から波矢多を救ってくれ、口利きをしてくれた合里という男が、落盤事故で坑道に取り残されてしまいます。それを機に次々と仲…

 池井戸潤 『下町ロケット』

かつて研究者として開発したロケット打ち上げに失敗した経験を持つ佃。父親の町工場を継いで、中小企業の社長として製品開発で業績を上げていた彼ですが、大手からの大口契約を破棄されたりと、決して経営は楽ではありませんでした。そこへ来て、競合の大手…

 三浦しおん 『舟を編む』

出版社の辞書編集部のベテラン編集者の荒木が退職するにあたり、後任として目を付けたのは言葉に対して辞書編集者のセンスを持っている馬締でした。名前の通り「まじめ」な彼は、辞書に人生を捧げた学者をはじめ、辞書作りに携わる様々な人間たちと共に、長…

 冲方丁 『はなとゆめ』

一条帝の御世、離婚と失恋を経た28歳の清少納言は17歳の中宮定子のもとへ出仕することになります。華やかな宮中で気後れして身を隠すようにしていた清少納言ですが、人の素質を見抜きその資質を伸ばすことにも長けた定子によって、少しずつ才能を示しはじめ…

 小泉喜美子 『血の季節』

幼女を惨殺した殺人事件の被告人が、弁護士が精神鑑定のために呼んだ医者に対して自身の過去を語ります。被告人の男が過ごした、戦前の幼年期。そこで出会った外国の公使館に住んでいた金髪碧眼の兄妹。抑圧された時代の中、少年の人格を形成したものは何だ…

 知念実希人 『白銀の逃亡者』

DoMSという高い致死率のウィルスが世界的に広まり、その病気から奇跡的に生還した人々は、瞳の色が白銀になり、驚異的な身体能力を持つようになります。日本ではこの変異体「ヴァリアント」が犯罪を犯したこともあり、彼らは一般社会から隔離されるようにな…

 J・D・ロブ 『堕天使たちの聖域 イヴ&ローク39』

再開発のための工事をはじめた古いビルから、十二人の少女の白骨化した遺骸が発見されます。15年も前に家出した子供らやストリート・チルドレンたちの保護施設が閉鎖されて以来、廃墟ビルだったこの場所から発見された少女たちに何が起こったのか。 本作では…

 三津田信三 『十二の贄 死相学探偵 5』

施設から莫大な資産を持つ大面家に引き取られた中学生の悠真は、当主だった幸子の遺言状にもとづき、山奥にある墓所に隠された遺言状を取りに行かされます。そこで彼を追って来た不気味な影の正体とは。そして相続人たちが互いに殺し合いでもすることを期待…

 畠中恵 『つくもがみ、遊ぼうよ』

深川の古道具屋の出雲屋の息子十夜とと二人の幼馴染、市助とこゆりは、店にある古道具のつくもがみたちと遊びたくて仕方がありません。親からはつくもがみに触ってはいけないと言われ、つくもがみたちからは子供に乱暴に扱われて壊されては堪らないと敬遠さ…

 恒川光太郎 『金色機械』

江戸の吉原や他の花街以上に栄え女郎たちの待遇も良いとも言われる舞柳(ぶりゅう)という土地で、大きな遊郭を構える熊悟朗のもとに遥香という娘がやって来ます。人の殺意を視ることのできる特殊な力を持った熊悟朗は、この娘が何やらわけありでしかも不穏…

 堀川アサコ 『小さいおじさん』

市役所の建設課に努める千秋は、ある日給湯室で黒田節を歌いながら踊る、着物姿の小さいおじさんを見てしまいます。そんな中、もともとは市の篤志家であったらしいおじさんゆかりの公園に作ったゴミ処理場移転に伴う再整備のため、買収をしたい土地の地権者…

 冲方丁 『マルドゥック・アノニマス 1』

瀕死だった少女バロットと万能道具存在(ユニバーサル・アイテム)たる金色のネズミの姿のウフコックが、自らの存在とその有用性を賭けて壮絶な戦いを繰り広げてから2年。学生として平穏な生活を始めたバロットの代わりの新たなパートナーとともに、<09法…

 堀川アサコ 『大奥の座敷童子』

十三代将軍の徳川家定の治世。奥州の貧乏藩である野笛藩から、五十年前にいなくなってしまったという座敷童子を見つけて藩に連れ戻すことを家老から命じられて大奥へとやってきた今井一期。大奥の女性たちのところへ、いかがわしい枕絵を置いていく「枕絵の…

 岡崎琢磨 『道然寺さんの双子探偵』

九州にある道然寺には、住職である父親の真海とその息子の一海、そして十四年前に捨てられていた双子が暮らしています。双子の片割れのレンは「寺の隣には鬼が済む」、もう一方のランは「仏千人神千人」を信条としていました。寺の納骨堂の周りにいた双子の…

 加納朋子 『はるひのの、はる』

幼い頃から幽霊を見ることができたユウスケが母親と川のほとりの土手でお花見をした日、それが彼と未来から来たという「はるひ」との出会いでした。その日不幸にも殺害されてしまうはずだった女の子は、「はるひ」とユウスケが本来しなかったことをしたおか…

 知念実希人 『優しい死神の飼い方』

人間たちから「死神」と呼ばれる存在が、上司の命令で地上で死を前にした人間たちが未練を残すことなく、死後に「我が主様」のもとへ魂としてのぼって行けるようにと、犬の姿で派遣されたレオ。看護師の菜穂に保護され、人生の最後を迎えようとする患者たち…

 若竹七海 『さよならの手口』

勤めていた探偵事務所が事務所をたたみ、そこで働いていた女探偵の葉村晶は古書店のアルバイトで糊口をしのいでいました。ある時遺品整理の古書の引き取りで訪れた家での事故で怪我をして入院した葉村は、たまたま同室になった元女優の老女から、20年前に失…

 高田大介 『図書館の魔女 第一巻〜第四巻』

鍛冶の里に育ったキリヒトは、一の谷の王宮からの迎えと共に最古の図書館である「高い塔」を訪れ、そこで「魔女」と呼ばれる少女マツリカに仕えることになります。言葉を話すことのできないマツリカの手話通訳として図書館での生活をはじめたキリヒトは、卓…

 J・D・ロブ 『パーティーは復讐とともに イヴ&ローク38』

仕事を辞めた揚句に恋人の貯めた金をギャンブルにつぎ込んで別れを言い渡されて住まいも追い出された26歳の青年ジェリーは、全てを周囲のせいにして言い訳をしながら実家で怠惰に過ごしていました。母親から「一ヶ月以内に仕事に就かなければ出て行ってもら…

 恩田陸 『雪月花黙示録』

美しい日本の姿を守る「ミヤコ」と「帝国主義者」の二つの勢力に国を二分された日本。このミヤコので、生徒会の選挙が行われますが、ミヤコの名家である春日家を狙い撃ちにしたかのような事件が次々に起こります。「伝道者」を名乗る反対勢力が次々に仕掛け…