畠中恵 『つくもがみ、遊ぼうよ』

つくもがみ、遊ぼうよ (角川文庫)
 深川の古道具屋の出雲屋の息子十夜とと二人の幼馴染、市助とこゆりは、店にある古道具のつくもがみたちと遊びたくて仕方がありません。親からはつくもがみに触ってはいけないと言われ、つくもがみたちからは子供に乱暴に扱われて壊されては堪らないと敬遠されていたものの、双六のつくもがみ「そう六」で遊び始めたことをきっかけに、店のつくもがみたちと様々な事件に関わることになります。

 つくもがみたちとの遊びと、毎回起こる事件を経て、子どもたちが成長していく姿が微笑ましい作品。
 長い年月を経て「付喪神」となった古道具のつくもがみたちの、決して老成しているわけではなく、どこまでも純粋な子どものようでありながら、人間の子どもたちとは全く異なる心のありようが、物語に温かな視点を与えていると言えるでしょう。