J B スタンリー『とんでもないパティシエ ダイエット・クラブ5』

とんでもないパティシエ ダイエット・クラブ5 (RHブックス・プラス)
 父親の再婚が近付き、結婚式の準備や自身の引越し、友人のクイズ番組への出演、さらには一時期は恋人だった女性が書いた、自分たちを愚弄するような本の出版が迫って色々と頭の痛いことの多いジェイムズ。そんな彼が迎えに行った父親の再婚相手の女性の妹は、「お菓子の女王」と称されるTVなどで売れっ子の有名なパティシエでした。ですが、会う人をことごとく怒らせるその女性が不審な死を遂げ、ジェイムズたちはその真相を明らかにしようと奮闘します。

 仲間と一緒に行きつ戻りつのダイエットの繰り返しとともに、これまで数々の事件を解決してきた主人公ら5人だけでなく、シリーズも5作目となってお馴染となった町の住人の暮らしぶりが伝わる、まさにコージーの醍醐味です。
 ただ、事件そのものの解決は、かなり唐突といわざるを得ないでしょう。そこに至る伏線は十分とは言えず、いきなり犯人の指摘とその自白で幕を閉じてしまったという印象。
 それでも、個性的な登場人物たちの魅力と、シリーズものならではの、住人たちの消息を綴るような物語の面白さで、最後まで読まされてしまった一冊でした。