シリーズ全9冊の、しかも最終作を三部作にした割には呆気なかったなという印象。
そこそこボリュームのある1冊、しかもここに至るまでの上巻と中巻においては結構な数の登場人物が死んだりもしているのに、結局物語の起承転結において肝心なところはすっ飛ばされてしまったというような食い足りなさが残った1冊でした。
延々とシリーズを続けるよりもキッパリと終わらせる事の方が難しいのでしょうが、ひとつの物語の結末としてはあまりにも呆気なさ過ぎですし、書かれなかった部分をこそしっかりと書いて欲しかったなという気がします。
観念的に「終わり」というものを描いたのであれば、そこは確かに過不足無く語られていたような気はしますが、とにかくシリーズ最終作としては非常に食い足りないという印象が強いです。これまではシリーズを通して一つの大きな魅力であった、西尾維新ならではの独特の斜に構えた登場人物の語り口調も、何だか最後は予定調和的にこじんまりとしたところへ纏まって大人しくなってしまったような気もします。
それでも「西尾維新だから」と、この中途半端な結末さえ「まぁこんなものか」と思ってしまうので、もしかしたらこれはこれでいいのかもしれませんけれども。