2冊

リンダ・ハワード『石の都に眠れ』

石の都に眠れ
 「変人」の烙印を押された父親の汚名を晴らすために、アマゾンの奥地に失われた石の都の遺跡を探す考古学者のヒロインということで、銘打たれているのが「ロマンチック・アドベンチャー」。
 ジャングルの奥地へと船で乗り込み、現地の腕利きガイドを伴って遺跡を探索するのですが、遺跡に眠るとされる巨大なダイヤモンドを狙う兄リックが連れて来たスポンサーと、さらには邪魔者を最後に消すために同道された殺し屋。
 ストーリー展開は、ロマンス小説だからと言って甘く見たものではなく、アドベンチャー物としてキッチリ楽しめるようになっています。
 ただ、兄のリックの複雑に屈折した心の動きは良く描かれているのですが、それ以外の悪役の人間達がいかにもハリウッド型ステレオタイプだということは言えるかもしれません。

リンダ・ハワード『パーティーガール』


 34歳の誕生日を迎え、女としてのおしゃれも恋愛も何ひとつないオールドミスであることに愕然としたヒロインが、一念発起して女を磨いて恋愛を楽しもうという、コミカルな物語。
 ですが、ドラッグと殺人絡みで、それと気付かぬうちに見てはいけないものを見てしまったヒロインは、命を狙われる羽目になります。
 事件の裏で暗躍するグループの黒幕は、割とあっさりと正体を現しはしますが、事件そのものの構造は割としっかり描かれているので、悪役側の人間を描くこともかなり成功していると言えるでしょう。
 ただ、原書ではどうなっているのか知りませんが、妙な所で文字を太字にすることを多用しすぎて、かえって変に引っかかってしまいました。