読了 借り物

 上橋菜穂子 『夢の守り人』

女用心棒のバルサ、呪術師のトロガイ、バルサの幼馴染でトロガイの弟子のタンダらが登場するファンタジーシリーズの第3弾。 人の夢を栄養にする異界の花が咲き、種を作る時が来て、花の夢に囚われて眠りから醒めない人々が出始めます。かつてこの花の夢に囚…

 山田真哉 『女子大生会計士の事件簿〈DX.1〉ベンチャーの王子様/〈DX.2〉騒がしい探偵や怪盗たち』

新米の会計士補の柿本一麻ことカッキーが、史上最年少で試験に合格した女子大生公認会計士として働く藤原萌実こと萌さんの下で、クライアントの会社の粉飾決算やら不正な会計処理やらを僅かな手掛かりから見つけ出していくシリーズ。 萌さんが「女子大生」で…

 雪乃 紗衣 『彩雲国物語 黎明に琥珀はきらめく』

サブタイトルが抽象的過ぎてイマイチ分からない以上に、所詮借り物ということもあって前巻までのあらすじや登場人物に関しての記憶も曖昧になっていました。 内容としては、畳むまではまだ相当かかりそうですが、これまで拡げ続けてきた風呂敷の模様がようや…

 前田珠子 『天を支える者 罠は、蜜の味』

主人公が故郷を出る元凶になった貴族の馬鹿息子が、都にやってきて彼女と遭遇してしまいます。かつて袖にされた腹いせとばかりに悪い噂を撒き散らし、挙句に主人公の少女の幼馴染にまでひどい仕打ちをしていたことがわかり、彼女らは復讐に打って出ます。 復…

 和泉朱希 『少年は、二度太陽を殺す―若き宰相の帝国』『少年は、二度太陽を殺す幻惑の国の皇子』『少年は、二度太陽を殺す永久を誓う絆』

かつて父親を連れ去った兵士達が、ヤンが滞在していた王国で王宮を襲撃します。生き延びた王子を助け出したヤンは、あの兵士達の目的が自分らの持つ笛であることを知ります。4本あるその笛にはある呪いがかけられており、その呪いを解く鍵はヤンの出生にあ…

 金蓮花 『光を紡ぐ者』/『光を紡ぐ者 はかない絆』

小さな島を出て東京の高校に進学することになった百佳は、偶然に出会った美少年の築に中学生と間違われます。本人の自覚はないものの強い霊力を秘めた百佳と、特殊な一族に生まれて霊を相手にする仕事をさせられる築とその従兄弟であり守役でもある清興の三…

 金蓮花 『銀朱の花月の庭 2 』

シルヴィアナの王族でありながら学者として遊学していた際に知り合った橘姫と駆け落ちを果たしたマコードですが、自身の持つ「聖痕」がマコードの国で持つ意味を知った彼女は姿を消します。 前作と本作との間にあるブランクそのものは気になりませんが、登場…

 喬林知 『砂はマのつく途の先!』

前作からある程度時間が経っているために、枝葉の部分でのストーリーはあまり覚えていなかったので、いまひとつついていけなかった部分はありますが、話の展開はそれほど進んでいないという印象。 また、主人公視点のメインパートに加えて、時々別の場所で同…

 雪乃紗衣 『彩雲国物語 隣の百合は白』

女っけの欠片もない生活を送る武官の戦意高揚のため、年老いてもなお老若男女問わずに人々の憧れの的である人物の「恋愛指南」を報償にしたことで異様な盛り上がりを見せる武術仕合の顛末を描く『恋愛指南争奪戦』。国きっての名門である紅家の長男として生…

 三浦しをん 『妄想炸裂』 

とにかく漫画が好きでいわゆる腐女子でありつつ、盆栽や三味線、俳優なら三船敏郎やルトガー・ハウアーをこよなく愛するというギャップの面白さ。そんな著者が書くライトなエッセイ集。 言ってみれば著者の妄想だだ漏れで取り留めなく書かれている文章なので…

 大沢在昌 石田衣良 今野敏 柴田よしき 京極夏彦 逢坂剛 東野圭吾 『小説こちら葛飾区亀有公園前派出所』

日本推理作家協会が、漫画のこち亀30周年の記念に企画したトリビュート・アンソロジー。 7人の作家それぞれが、自作のシリーズキャラクターと原作漫画のキャラクターを絡めたりしながらそれぞれ作品を書き下ろしています。 新宿鮫と両さん、あるいは池袋ウ…

 雪乃紗衣 『彩雲国物語 白虹は天をめざす』

キャラクター小説であるところのライトノベルで、ある程度長編シリーズとして認知されると陥りがちなことではあるのでしょうが、多過ぎる登場人物一人一人の「キャラクターを立たせる」ために物語を拡散させ過ぎ、結果として全体の視点からは焦点がぼやけた…

グレッグ・ルッカ 『天使は容赦なく殺す』

ロンドンの主要地下鉄で、イスラム原理仕儀者によるテロが行われ、多くの死傷者が出ます。イギリス秘密情報局の主席特務官であるタラ・チェイスは、政府の命令によりこのテロの首謀者である人物を暗殺するために中東に潜入を果たします。ですが、この任務に…

 赤川次郎 『セーラー服と機関銃・その後―卒業―』

18歳になり、大学受験・高校卒業を控えた泉の前に突然現れた神埼という刑事が、身に覚えの無い容疑で無理矢理警察へと泉を連行していきます。「目高組組長、星泉」と名乗って恐喝を繰り返している少女がいるということで、現在は足を洗ったとは言え、神崎は…

 赤川次郎 『セーラー服と機関銃』

父を不慮の事故で亡くしたばかりの泉は、十七歳の女子高生にして、組員僅か四人とはいえ、零細ヤクザの組長になってしまいます。その上父親と一緒に住んでいたマンションには、父の愛人だったマユミという謎の女性までが住み込み、さらには死んだ父が実は麻…

 前田栄 『THE DAY Waltz ?』

曽祖父の後継者選びのための手駒として、NYの屋敷に閉じ込められるような生活を起こっているパウロの前に、「悪魔の本」とともに400年間存在し続けているという錬金術師のフィラテスが現れます。「幽霊のような存在」だというフィラテスにたまたま選ばれてし…

 ステラ・キャメロン 『血のキスをあなたに』

亡くなった叔父の屋敷に移り住んだヴィヴィアンと母親のシャーロットは、そこでホテルを開業する準備を進めていますが、彼女らに叔父が遺した遺産についての報せをくれるはずだった弁護士が、何者かに殺されます。血で遺されたキスの跡と白いバラが添えられ…

 上橋菜穂子 『闇の守り人』

父親が王位を巡る陰謀に巻き込まれたために、幼い頃に後にした故国に、女用心棒のバルサは25年ぶりに戻ります。ですが故郷では、バルサを守り育てるために人生を捨ててくれた養父のジグロが卑劣な汚名を着せられていました。 本作は、バルサ自身が自己を形成…

 タニス・リー 『パイレーティカ女海賊アートの冒険 上/下』

両家の子女を集めた女学校で、頭を打ったことを切欠にし、アートは母親のモリーが女海賊"パイレーティカ"であったという記憶を取り戻します。ですがかつての仲間との再会を果たしたアートには、"パーレーティカ"は芝居であり、母のモリーは役者として舞台で…

 ジュゼッペ・ペデリアーリ 『霧に消えた約束』

イタリアの小都市モデナの公園で、娼婦らしき風体の女性の殺害死体が発見されます。ですが第一発見者でもある少年課の警部のカミッラは、最初から被害者が見た目通りの階級の人間では無いと見抜きます。そしてこの事件の捜査に加わることになった彼女に、資…

上橋菜穂子 『精霊の守り人』 

川で溺れかけた第二皇子チャグムを助けた女用心棒のバルサは、皇子の母親である妃から、チャグムを狙ってくる帝の刺客から息子を守って欲しいという依頼をされます。まだ少年であるチャグムを伴って追っ手から逃れる旅に出るバルサですが、チャグムに宿った…

 金蓮花 『銀朱の花 蛍の庭』

宮廷での華やかな駆け引きの世界とは一線を画し、学者として身を立てた王弟のマコードは、自国には無い植物の研究のために東洋の国を訪れます。文化の異なる異国の生活を送る中、王宮の一角の蛍の庭で、マコードはひとりの姫君に出会いますが、彼女は皇帝に…

 ビヴァリー・バートン 『星降る夜に、だれかが』

18歳の時に、義父を殺したという無実の罪で投獄されたリード・コンウェイは、15年の服役の末、仮出所を果たします。母親と妹の住む町へと戻ってきたリードですが、町の誰もが彼を白い目で見る中で自分を冤罪に陥れた真犯人を探そうとします。ですが、かつて…

 ダイアナ・ガバルドン 『妖精の丘にふたたび アウトランダー』

アメリカ大陸に渡り、ノースカロライナに住むおばのもとへと向かうジェイミーとクレア、そして甥のイアンらは、絞首刑になるところを脱走した男の逃亡に手を貸す羽目になった結果、親切が仇となって思いもよらぬ災厄に見舞われることになります。一方現代に…

 シャノン・マッケナ ほか 『キス・キス・キス』

付き合う男がことごとくロクでもなく失望したジンジャーは、真面目で野暮ったくて仕事に生きる女を演出するファッションにイメージチェンジをし、この先2年は男断ちをしようと心に決めます。ですが、まさにそのタイミングで出会ったクライアントは飛び切り…

 雪乃紗衣 『彩雲国物語―青嵐にゆれる月草』

正直もう登場人物の区別が付かなくなっていますし、前作までに登場しているはずなのにすっかり存在を忘れている人物もいます。 群像劇として読むにはやはりライトノベルならではの薄味さで限界がありますし、各人のエピソードや何かが掘り下げられていると言…

 クリストファー・ゴールデン 『闇に棲む少女』

仮装パーティの帰り、妻のジリアンは飲み過ぎて眠り込み、マイケルは車を運転して帰途につきます。ですが、だれもいない道で危うく女の子を轢きそうになり、マイケルはそんな夜中にひと気の無い道に一人立っていた少女に訝りながらも、彼女を車に乗せて送っ…

 ヘザー・グレアム 『ひそやかな微笑み』 二見文庫

病で屋敷にこもっている往年の大女優であるアビーは、謎の人物からの脅迫を受けて娘のジェニファーを案じ、三番目の夫の息子のコナーにジェニファーを守ってほしいと言って、彼を呼び寄せます。最初は母親の言うことを妄想だと思っていた上に、元々良好な関…

 五代ゆう 『<骨牌使いの鏡>Ⅰ〜Ⅲ』

12枚の骨牌(かるた)による詞(ことば)が作り出す世界。亡き母親の跡を継いで、骨牌使いとして生計を立てていた少女アトリは、ある日世話になっている娼館で黒髪の青年ロナーを占ったことをきっかけに、「失われた十三」の骨牌の運命に翻弄されるようにな…

 斎藤英喜 『読み替えられた日本神話』

古事記や日本書紀に記された、アマテラスやオオクニヌシの確立から、中世において神話が拡散し、読み替えられた時代の背景、そして近代から現代まで、主として時系列に沿って解釈や物語が変わってきた日本神話に関して書かれた1冊。 ただし、あくまでも一般…