12枚の骨牌(かるた)による詞(ことば)が作り出す世界。亡き母親の跡を継いで、骨牌使いとして生計を立てていた少女アトリは、ある日世話になっている娼館で黒髪の青年ロナーを占ったことをきっかけに、「失われた十三」の骨牌の運命に翻弄されるようになります。伝説に伝えられる公女と「十三」をめぐり、対立する<異言>の者達との戦いの中心に、少女は否応なく身を置くことになります。
良く練られた世界観、抑制の効いた文章で、ハイレベルなファンタジー。
全三作の最終巻のあとがきで書かれているように、ほとんど「神」や「魔法」といった安直な表現は使われず、詞(ことば)や骨牌といった独自のガジェットを用いたあくまで人間の織り成す物語を描こうとしたことが、本作がファンタジー系ライトノベルのなかで安っぽくありふれたものと一線を画すことが出来た一因でしょう。
「物語には常に最善の結末を」との詞通り、実に綺麗にまとまった1作。