金蓮花 『光を紡ぐ者』/『光を紡ぐ者 はかない絆』

光を紡ぐ者 (コバルト文庫 (き6-57))光を紡ぐ者―はかない絆 (コバルト文庫)

 小さな島を出て東京の高校に進学することになった百佳は、偶然に出会った美少年の築に中学生と間違われます。本人の自覚はないものの強い霊力を秘めた百佳と、特殊な一族に生まれて霊を相手にする仕事をさせられる築とその従兄弟であり守役でもある清興の三人が出会い、否応もなく事態は動き出します。

 1冊目では主に物語の開幕と、自身では全く無自覚のままに霊を退ける能力を持つ百佳の側からの伏線を張り、2冊目で一族を嫌悪しながらも縛られ、霊を引き寄せてしまうのに自分で払うことの出来ない築の側からの伏線を張っており、今後の展開の下地は出来たというところでしょうか。
 伏線にしろ展開にしろある程度この先は読めるものの、人物の個性付けのバランスも手堅いと言っても良いでしょう。
 問題はやはりティーンズの女性層向けライトノベルならではの人物の薄さと、刊行ペースが安定しそうもないこと。1話完結とは言えないので、せめて未完のままで終わるシリーズにならないといいなと思います。