ジュゼッペ・ペデリアーリ 『霧に消えた約束』

霧に消えた約束
 イタリアの小都市モデナの公園で、娼婦らしき風体の女性の殺害死体が発見されます。ですが第一発見者でもある少年課の警部のカミッラは、最初から被害者が見た目通りの階級の人間では無いと見抜きます。そしてこの事件の捜査に加わることになった彼女に、資産家で魅力的な男性であるマルコが強引な接近を図り、刺激的な関係が始まりますが、同時に事件は連続殺人の様相を見せ始めます。

 "イタリアで絶賛された"等の帯の煽り文句は最初から真に受けてはいませんでしたが、全体的に見て、マルコとカミッラの中途半端なロマンス要素を入れ込んだことで、プロット的に整理されていない印象を残す作品となっている気がします。
 被害者をつなぐ線はそれなりに面白いですし、犯人の意図や動機も上手く練られているものの、今ひとつ読者に対するミスリーディングの試みが不十分であり、単調になってしまった点を指摘できるでしょう。