クリストファー・ゴールデン 『闇に棲む少女』

闇に棲む少女
 仮装パーティの帰り、妻のジリアンは飲み過ぎて眠り込み、マイケルは車を運転して帰途につきます。ですが、だれもいない道で危うく女の子を轢きそうになり、マイケルはそんな夜中にひと気の無い道に一人立っていた少女に訝りながらも、彼女を車に乗せて送っていくことにします。少女に案内された先は、見知らぬ山奥にある荒れ果てた古い館でした。「わたしを見つけて」と告げる少女に導かれて中に入ると、そこは無人であるのに小さな女の子達の笑い声が響いています。"スクーター"と名乗った少女に導かれたその一夜を境に、マイケルは「見つけにきて」という少女のメッセージにとり憑かれたように、あの館を探し始めます。ですが、「近づくな」という警告の声と共に、妻のジリアンにまで異変が起こり…。

 良くも悪くもスティーブン・キングばりの映画的で読みやすいホラー・サスペンス。
 最初に少女に導かれて館に連れて行かれる過程までは割と丁寧に描かれますが、主人公が酩酊気味であることもあり、館での不思議な体験はかなりあっさりと流されてしまった感じも受けます。
 また同様に、日常生活に戻ったマイケルにメッセージを送り続ける少女の声と、妻のジリアンに起こる異変、そして再び館に辿り着こうとその場所の手掛かりを探す過程はしっかりと読ませるものの、館に辿り着いてからはかなりハリウッド的な乱暴さで結末にまで持って行かれたという印象。
 後半に挿入される少女達の記憶やその扱いというのは、ある種のアクセントもあり映像的な良さはあるものの、反面全体的に何かの映画のノベライズのような薄い印象や、どこかで見たような典型的なホラー作品の域を出ないといわざるを得ない部分は感じます。