ダイアナ・ガバルドン 『妖精の丘にふたたび アウトランダー』

妖精の丘にふたたび〈1〉―アウトランダー〈10〉妖精の丘にふたたび〈2〉―アウトランダー〈11〉妖精の丘にふたたび〈3〉―アウトランダー〈12〉
 アメリカ大陸に渡り、ノースカロライナに住むおばのもとへと向かうジェイミーとクレア、そして甥のイアンらは、絞首刑になるところを脱走した男の逃亡に手を貸す羽目になった結果、親切が仇となって思いもよらぬ災厄に見舞われることになります。一方現代に生きる娘のブリアナは、恋人のロジャーに距離を置き、母のクレアと実父のジェイミーに会うために、母が超えた時空の割れ目を越えることを決意します。そのことを知ったロジャーもブリアナを追いかける決意を固めますが、200年前の世界で邂逅を果たした親子とロジャーにも、過酷な事態が待ち受けます。

 アウトランダーも第4シーズンということで、すっかりいい年になっているクレアとジェイミーには、ついに本作のラストで、孫が誕生することになります。
 本シーズン序盤で仄めかされていたことが、3巻目で浮上する辺りは、伏線の上手さと緩急をつけた展開が上手いところ。その意味で3巻にわたるボリュームを読ませる力はあるものの、やはりもう少しスリム化してさらに無駄を削ることが出来れば、より望ましいと感じてしまいます。
 現代と過去を繋ぐ絆は、一応これで過去の世界に集約された展開となっていますが、クレアが現代のスコットランドで見つけたジェーミーの墓や、ブリアナとロジャーが知ったアメリカでの二人の死亡記事など、今後まだまだ展開を引っ張る要素は多いようです。
 原書では第6シーズンまで刊行されており、ジェイミーも50歳を迎えたという話も聞きますが、子世代はともかく、孫世代まで話が続いたりしないか、微妙な気分になるところ。
 また、入植期のアメリカの、まだ現代で通じる秩序やモラルが確立されていない雰囲気は味わえますが、スコットランド編と比べるとその辺は些か薄味かもしれません。