金蓮花 『銀朱の花 蛍の庭』

銀朱の花螢の庭
 宮廷での華やかな駆け引きの世界とは一線を画し、学者として身を立てた王弟のマコードは、自国には無い植物の研究のために東洋の国を訪れます。文化の異なる異国の生活を送る中、王宮の一角の蛍の庭で、マコードはひとりの姫君に出会いますが、彼女は皇帝にとって特別な意味を持つ巫女姫でした。

 同設定の世界で、時代や人物を変えて書き綴られている本シリーズですが、正直なところそろそろネタ切れ感は否めません。
 本作では妙に漢字世界のファンタジーを意識して日本を思わせる世界構築を図っていますが、結果的に既存の舞台とは異なる国の風俗や習慣の説明に終始しており、世界構築も人物の掘り下げも甘いものになってしまった中途半端感はあります。