山田真哉 『女子大生会計士の事件簿〈DX.1〉ベンチャーの王子様/〈DX.2〉騒がしい探偵や怪盗たち』

女子大生会計士の事件簿〈DX.1〉ベンチャーの王子様 (角川文庫)女子大生会計士の事件簿〈DX.2〉騒がしい探偵や怪盗たち (角川文庫)

 新米の会計士補の柿本一麻ことカッキーが、史上最年少で試験に合格した女子大生公認会計士として働く藤原萌実こと萌さんの下で、クライアントの会社の粉飾決算やら不正な会計処理やらを僅かな手掛かりから見つけ出していくシリーズ。
 萌さんが「女子大生」である必然性は全く感じられませんし、ある程度キャラクターが立っているとはいえ、小説としての質云々を言えば一般文芸の遡上で語るレベルには達していないと言わざるを得ません。
 ですが、もともとが専門学校の情報誌に職業紹介的な読み物として連載されていたという経緯を考えれば、実際に社会で起こった事件をモデルケースにして会計士の世界を面白い読み物に仕立て上げていると言えるでしょう。
 再読する気になるかと言われれば、多分そうはならずに一度流し読みして読み捨てる類の本ではあるものの、ちょっとの時間に読む「読み物」としては十分に楽しめるもの。