J・D・ロブ 『穢れた方程式イヴ&ローク37』

穢れた方程式 イヴ&ローク37 (ヴィレッジブックス)
 改装工事中のビルの一室で、首の骨を折られた会計士の女性の遺体が発見されます。仕事でも信頼され、幸福な家庭を築いていた女性会計士は何故殺されたのか。一見すれば物取りによる強盗殺人のような事件現場でしたが、コートは持ちされれていたのに高価なブーツはそのまま履いていた遺体の状況などから、捜査を担当するNY市警の警部補であるイヴは、これが単なる強盗目的の殺人ではない可能性が強いと確信を持ちます。

 一人の女性会計士の死を捜査するうちに、容疑者となり得る者たちの人間性が次々に暴かれていく本作は、「何やらいわくありげな登場人物たち」というガジェットの使い方に関して言えば、わりとオーソドックスなサスペンスと言えるでしょう。その意味では、現場に残された手掛かりと状況から順当に犯人を絞り込み、迫っていくことになります。
 ですが、そこはさすがに手慣れたストーリーテラーである著者であり、ラストで意外な真相を盛り込むことに成功していると言えるでしょう。