桜庭一樹 『GOSICKVII‐ゴシック・薔薇色の人生』

GOSICKVII‐ゴシック・薔薇色の人生‐ (角川文庫)
 父親のブロワ伯爵により、強制的にソヴレムへと連れて行かれたヴィクトリカを追って、一弥もまたヴィクトリカの母コルデリア・ギャロが踊り子として舞台に立ったこともある劇場へと向かいます。ヴィクトリカに課せられたのは、過去にこの国で起こった、国民から絶大な人気を誇る王妃ココ・ローズの死を巡る謎を解くことでした。
 ラストに向けた布石と思われる動きが盛り込まれ、シリーズ序盤から言われていた「二度目の嵐」へ向け、登場人物たちの運命が急展開する予感を強くする1作。
 劇場"ファントム"に立った三人の踊り子――ニコル・ルルー、ジンジャー・パイ、そしてコルデリア・ギャロ。それぞれが、数奇な運命に翻弄されたり、その立会人になったりと、様々な人生を辿りますが、決して幸せだけではないはずの彼女らの「薔薇色の人生」が、何とも劇的に描かれます。
 過去の王妃暗殺や、それを取り巻く謎に関しては割とアッサリ読めてしまいますが、それでも最後に王妃がどうなったかということには意外性もあります。
 また、劇仕立ての解決編はインパクトを強く残すものであり、この作品らしい演出でした。