油断して読んでいたらやられた!という感じですね。
サプライズの部分抜きにしても凄く良かったです。一気に読んでしまいました。
軽妙な文章のテンポと主人公達のさらりとして好感が持てる個性で話は進んでいくのですが、あまりにも無意味な、そしてだからこそ怖ろしい悪意というものも登場します。動物虐待なんかが出てくるというという事前情報は知っていたのでその辺の描写は正直ちょっとびくびくしながら読んでいたのですが、悪意の側の視点で描かれたわけではないですし過不足なく描いていること、それからやはりこの著者の語りの上手さでしょうね。
また、ラストは必ずしもハッピーエンドというわけでは無いのですが、読後感は不思議とさわやかさすらあります。
嫌味でない程度に哲学的で洒落た会話といい、よくよく考えてみればそれほど大きな謎ではないものの物語を引き締めているサプライズの配置といい、とにかく上手いなぁの一言に尽きますね。