ダイアナ・ガバルドン 『時の彼方の再会Ⅰ〜Ⅲ アウトランダー7〜9』

時の彼方の再会〈1〉―アウトランダー〈7〉時の彼方の再会〈2〉―アウトランダー〈8〉時の彼方の再会〈3〉―アウトランダー〈9〉
 18世紀のスコットランドに残して来た夫、ジェイミーはカローデンの戦いを生き延びていた――その事実を突き止めたクレアと娘のブリアナ、そして若き歴史学者のロジャーはジェイミーの足取りを辿ります。カローデンの戦いで離れ離れになってからの20年の足跡を見つけたクレアは、娘とロジャーに送り出され、再び200年の時間を越えてジェイミーとの再会を果たします。

 20世紀と18世紀、エジンバラ、そして故郷にあるジェイミーの姉の家、フランス、そして西インド諸島へと舞台が目まぐるしく移動する本作では、前作にあったような停滞感はほぼ解消されていると言えるでしょう。ですがあまりにも目まぐるしい展開はやや性急で、些か詰め込みすぎな部分もあるかもしれません。その意味では前作『ジェイミーの墓標』と本作を一本に纏めてスリム化してあれば、バランスは取れたという気もしました。
 登場人物は忘れ去っていたような人物がまた重要な役割を担って登場していたり、新たに出てくる人物も癖が強く波乱を引き起こす者ばかりで、詰め込み感がある中でも上手く描いているなという印象。
 そしてクレアとジェイミーの再会のシーンも、あっさりしていながらも非常に印象的なものとしており、演出上の上手さが感じられました。
 また、18世紀でも現代でも20年という時間の重みが、前作に引き続いてしっかりと描かれている作品となっています。
 ただ、シリーズとしてはまだ終わっておらず、どこに終着点を置くのかが肝要となってくるでしょう。