リンダ・O・ジョンストン 『いたずらフェレットは容疑者 ペット探偵2 』

いたずらフェレットは容疑者 ペット探偵2 (ランダムハウス講談社 シ 2-2 ペット探偵 2)
 無実の罪を晴らしはしたものの、いったん剥奪された弁護士資格を再取得するための試験を間近に控えているケンドラは、急場しのぎではじめたペットシッターも軌道に乗っていましたが、芸能人のシャーロットに貸している家で、州法で飼育が禁止されているフェレットを見つけてしまいます。さらには、その家で発見された死体にフェレットが齧ったと思われる傷があり、殺人の容疑者としてフェレットは連れて行かれてしまいます。好意を抱き始めている隣人のシャーロットと彼女の恋人のユル、そして最悪処分されてしまうかもしれないフェレットの濡れ衣を晴らすために、ケンドラは奔走し始めます。

 前作に引き続き、個性豊かなペット達を介在させることで、非常に軽妙な仕上がりになっている作品。
 事件の方も、メインの殺人事件だけではなく、住宅規定で定められているよりも大幅に多い数の犬を飼っていることによるトラブルを抱えた依頼人や、隣人の家の庭を掘り起こして財宝を発見してしまったものの、その所有権を手放したくないという依頼人がケンドラを頼って来て、彼女はこれらの問題を訴訟に持ち込ませずに解決することになります。些かご都合主義な展開も見られないわけではありませんが、シリーズの今後に繋がるこれらの枝葉の事件をちりばめることで、独特の作品世界の確立に一役買っているということは言えるでしょう。
 メインの事件に関して言えば、伏線の面で弱く、やや行き当たりばったりの展開である点は指摘せざるを得ないでしょう。さらには、やはり本作では主人公であるケンドラ自身が事件の当事者では無いということもありますが、犯人の人物に関して書き込みが不足しているために、真相が明らかになった際のサプライズなどが今ひとつというところもあるかもしれません。
 ただ、物語のテンポの良さに加えて、犯人との対決にペット達が活躍する展開は前作に引き続き楽しめ、シリーズとしての個性は確立していると言えるでしょう。