P.G. ウッドハウス 『ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻』

ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻 (文春文庫)
 人好きのする性格の好青年ではあるけれども、いまひとつ冴えない青年のバーティ・ウースターには、鋭敏な頭脳を持つ従僕のジーヴスが仕えています。時折個性的過ぎるバーティの服装の好みのことで険悪になりながらもジーヴスは、惚れっぽくて調子の良い親友のビンゴが持ってくる厄介ごとや、厳格なアガサ伯母の押し付ける無理難題など、主人であるバーティの周囲に起こるあれこれを全て綺麗に解決して見せます。

 単行本だったこともあり、これまでは手を出していなかったウッドハウス。文庫化したのでついに手を出しました。
 ちょっと駄目だけれど憎めないお坊ちゃんのバーティ・ウースターと、慇懃で「完璧な」従僕のジーヴスの洒脱なやり取りには、ついついニヤリとさせられてしまいます。
 この二人の最初の事件が収録されている短編集ということもあり、シリーズ入門編としては最適な1冊といえるでしょう。