山田詠美 『ジェントルマン』

ジェントルマン

 容姿も才覚も秀でていて、けれども人に好かれる隙も兼ね備えていて、誰からも好かれる好青年である漱太郎。学生の頃にそんな彼の裏の姿とでも言うべき歪んだ性癖を目撃し、以来深く惹かれ続ける夢生と漱太郎の関係。

 淡々とした筆致で描かれるためさらっと読めるものの、人として最低な「ジェントルマン」と、そんな彼にいびつな愛情を抱いた主人公が行きつく先を描く物語。
 冒頭とラストに登場する、ジョン・レノンオノ・ヨーコの写真が実に象徴的なガジェットとなっている作品。