Mylene Fermer "Monkey Me" (2012)

Monkey Me
フレンチポップスの歌姫ミレーヌ・ファルメールの9thアルバム。
初期のミレーヌと二人三脚で独特の作品世界を創り上げていたローラン・ブトナによる、フルアルバムとしては久しぶりのプロデュース作品となります。
とはいえ、初期の退廃的でゴシカルな雰囲気というよりは、以前のブトナが最後にプロデュースした"Innamoramento"の延長に位置していると同時に、ここ何作かのダンサブル/エレクトロ路線の継承といった雰囲気のアルバムと言えるでしょう。
#1、#10、#12、辺りは、透明感のあるミレーヌ・ファルメールのメランコリックな持ち味が感じられる曲となっています。
アルバムのオープニング曲である"elle a dit"は、疾走感のある美しいメロディの1曲。
閉塞感とそこから自由であろうとする内面を歌ったかのような、アルバムのタイトル曲である#3の"Monkey Me"。
そして#10の"Nuit d'Hiver"はデビューアルバムである"Cendres de lune"に収録されている"Chloe"のリミックス曲で、元曲よりダーク・エレクトロ色の強い仕上がりを楽しめます。
個人的には#12の"Je te dis tout"の陰鬱な曲調が一番お気に入り。
初期にブトナと創り上げた世界観のクオリティが高過ぎて、あの頃に感じた強烈な引きというのはないものの、私の中でミレーヌ・ファルメールという歌姫は相変わらず、どんな路線でアルバムを出されても買ってしまうアーティストだったりします(その割に前回のベスト盤はスルーしちゃってましたが)。