Insomnium "Shadows of the Dying Sun" (2014)

シャドウズ・オヴ・ザ・ダイング・サン
インソムニウム
マーキー・インコーポレイティド (2014-05-21)
売り上げランキング: 3,926

フィンランドメロデス、インソムニウムの3年ぶり6thアルバム。
多くのメロディック・デスメタル・バンドがモダンやオルタナティブ寄りに、あるいはロック路線へと変わって行く中、メンバー交代があっても一貫していかにも北欧メロデスらしい作品を安定して、かつ、枚数を重ねるごとに着実な進化を見せながらリリースしてくれる良いバンドだなぁと、改めて感じさせてくれる1枚。
どこまでも叙情的で美しいメロディラインで始まり、そのメロディが時として激しいブラストビートに乗せられることで、北欧メロデスやフォーク・メタルのメランコリックな叙情性と、ブルータル・デスの暴虐性とが同居するダイナミックな楽曲で構成されていて、これまでのアルバムの中でも最高峰の出来となっていると言えるでしょう。
オープニング曲#1は静謐なイントロから力強いグロウルのヴォーカルへと展開し、その流れのままドラマティックで疾走感あふれる#2へと続きます。ですが、この#2 While We Sleep 1曲の中だけをとっても決してマンネリに陥ることはなく、叙情と暴虐の間の目まぐるしい変化に揺さぶられることとなります。
#7 The Rever は陰鬱で美しいメロディとブラストビートの融合と対比によって、質量を持った「重さ」を感じさせる1曲。
そして本アルバムに先立ってリリースされていた#8 Ephemeral*1 も、メロディラインは美しいまま、重さと疾走感、慟哭と咆哮、陰鬱と力強さという、対比する要素が絡み合いながらの複雑な展開を見せる強烈な1曲。
さらには日本盤ボーナス・トラック4曲のうち3曲がインストゥルメンタルで、いずれもアコースティックサウンドをメインにした叙情性に溢れる曲になっています。

*1:先行リリースのものとアルバム収録のものとは、アレンジを変えてあるようです