私立探偵のエリンは、依頼のために製薬会社のCEOの部屋に忍び込み、コンピュータの中にあったとあるファイルを盗み出します。何とか見つかることなく抜け出せたものの、侵入したことを即座に悟られた上に、すぐ近くでその製薬会社の関係者の惨殺死体が発見され、危機感を覚えていた彼女の前に、地元FBIのリチャーズ捜査官が現れます。そして、ワシントンでは上院議員が超常現象らしきものに悩まされ、サビッチに事態の解明を依頼してきますが・・・。
FBIシリーズ、サビッチ&シャーロックのシリーズですが、本作では主に私立探偵のエリンの視点で物語は展開することとなります。
製薬会社の不正を知るエリンが遂行しようとする「正義」と、サビッチ&シャーロックに加えて地元FBIのボウイ・リチャーズらが遂行しようとする「正義」が、必ずしも相反するものではないにもかかわらず、同一ではないあたりが一つの見どころと言えるでしょう。
最終的に「犯人」や「事件の真相」は、意外というよりはやや肩透かしな感じもしないではないですが、犯人の人間性の書き込みはインパクトのあるものとなっています。
さらに、このシリーズでは毎回複数の事件の同時進行というのがひとつのリアリティ構成要素となっていますが、ワシントンでの上院議員の周辺に起こる事件の真相についても、意外な真相に至るとサビッチの能力が実に上手い伏線であり、ミスリーディングとして機能していると言えるでしょう。