桜庭一樹 『GOSICK Ⅴ ゴシック・ベルゼブブの頭蓋』

GOSICK(5) ―ゴシック・ベルゼブブの頭蓋―
 ということで、5冊目。
 夏休みの最後の日に、突然どこかへ移送されたヴィクトリカを迎えに、一弥は"ベルゼブブの頭蓋"と呼ばれている修道院へと向かいます。魔術なのかそれともトリックなのか、衆人環視の中での殺人、そして1914年に起こった大戦当時、この修道院で起こったことは何だったのかと、魅力的な謎が上手い具合にストーリー内に配置されています。
 ただミステリの部分について言えば、今回はボリュームの割には色々と小さなトリックを詰め込んだものの、それが完全に物語内において生かされ切ってはいなかった面も否めませんが、総合的に見れば話としては楽しめました。
 シリーズ全体の展開の動きも今回また一歩進み、これかでは語られるだけの謎めいた存在だった、ヴィクトリカの母親のコルデリアが登場してきます。この謎の多い女性もまたキャラクターが良い意味で立っており、今後不穏な時代へと突入するヨーロッパ史の中にヴィクトリカたちとともにどう関わってくるのか、期待してしまいます。
 というか、一応修道院での事件は綺麗に解決していますが、帰りの列車の中で何やら事件が起こるようで、"To be continue"という状態で、何やらまだ終わっていないようで。