桜庭一樹 『GOSICK 6 仮面舞踏会の夜』

GOSICK〈6〉ゴシック・仮面舞踏会の夜
 "ベルゼブブの頭蓋"からの脱出を果たした一弥とヴィクトリカは、豪華列車"オールド・マスカレード号"に乗り込みます。そこで一緒になった人々は、それぞれ<公妃>、<孤児>、<木こり>、<死者>を名乗り、ヴィクトリカもまた自分を<灰色狼>、そして一弥を<家来>と紹介します。
 仮面舞踏会のように、自分自身に仮面を被せたこの列車旅の中で、「形見箱」を取り落とした人物が毒殺されてしまいます。

 5巻のラストで仄めかされていた、"ベルゼブブの頭蓋"から聖マルグリット学園への帰途に当たる列車での事件ですが、内容的にも「形見箱」をめぐり、修道院"ベルゼブブの頭蓋"でのオカルト省と科学アカデミーとの対立を引き摺ったものとなっています。
 その意味では前作で未消化だった部分の伏線も回収され、2冊にまたがる冒険譚はこれで一区切りしたといったところ。
 ミステリ部分に関しては、毒殺トリックは比較的単純なものですし、その他の謎についても正直な所あまり真相が明かされてもサプライズは無かったのですが、いずれ離れ離れになると予言されたヴィクトリカと一弥の結び付きが強まったという意味では、シリーズ上において大きなポイントとなる話だったと言えるでしょう。