我孫子武丸 『警視庁特捜班ドットジェイピー』

警視庁特捜班ドットジェイピー
 イメージアップの為に、「戦隊物」の部隊を特捜班として立ち上げてしまった警視庁。巨乳ロリ顔の格闘美少女の早峰綾、実践志向の銃器マニア三枝博信、関わる男性が彼女を巡ってトラブルに陥る「難攻不落の美女」にして実は腐女子の沢渡香蓮、コンピュータオタクの一ノ瀬瑛次、フランス人とのハーフの女タラシの美少年窪寺類――容姿端麗で秀でた能力を持ってはいるものの、それぞれ問題の多い警察官5人により、「警視庁特捜班ドットジェイピー」が結成されます。ですが、結成早々イベントでのスリの誤認逮捕など、「ドットジェイピー」には何やら暗雲が立ち込めます。

 終始コミカルで、風刺も交えたユーモアでのみ成立しているという面もありますが、どうもこの笑いのセンスというのが、ある程度読者を選ぶものであることは否めない気がします。
 「いかにも」という感じでデフォルメされたキャラクター主導の物語であることは事実でしょうが、キャラクター造詣はライトノベルとはまた全く異なるものであり、むしろ全てにおいて「B級」という要素こそが前面に出された作品であると言えるでしょう。
 事件そのものは全く予想通りの展開を見せますし、その「お約束」さ加減もB級コメディとして楽しめるものの、個人的にはこの手の笑いのセンスに乗り切れず…といったところ。