海原育人 『誰かのリビングデッド1 不浄』『誰かのリビングデッド2 愛情』

誰かのリビングデッド〈1〉不浄 (C・NOVELSファンタジア)誰かのリビングデッド〈2〉愛情 (C・NOVELSファンタジア)
 魔女の八人の弟子のうちの一人"不浄"が魔女と仲間を弑した後の世界。仕えていた魔法使いのもとから逃げ出した少年プラスは、野菜を盗もうとしてその畑の持ち主のパン屋に拾われます。店長と義理の娘とプラスの三人での暮らしが続いたある日、プラスは畑に埋まっていたリビングデッドを拾ってしまいます。ネクロマンサーによって生み出されるリビングデッドは、そのネクロマンサーが主であるはずなのですが、デルと名乗ったリビングデッドは、自分の主を知らないのだと言います。主を探すために、世界で一番名の知れたネクロマンサーであった"不浄"を探すのだというデル、プラスの天敵で魔法使いに対するレジスタンス組織に身を置き魔法使いを殺す手伝いをしろというナム。三人は、ある企てをすることとなります。

 あらすじや帯のあおり文句にはそこそこ惹かれますが、中身は実にオーソドックスなライトノベル
 とはいえ、物語の世界観はファンタジーとしては非常に魅力的なものであり、キャラクターの会話も軽妙でとっつきやすく楽しめる作品に仕上がっていると言えるでしょう。
 そして主人公ら3人以上に、物語を引き締めているのは店長のキャラクターかもしれません。魅力的な脇役と魅力的な物語背景・世界観を楽しめる一作でした。