久住四季 『トリックスターズC PART1 /PART2』

トリックスターズC PART1 (メディアワークス文庫)トリックスターズC PART2 (メディアワークス文庫)
 二日間、それぞれ魔術絡みで事件に振り回された学園祭も最終日を迎えますが、城翠祭実行委員会に「学園祭の成功に不可欠なあるものを奪う」と、「魔術師からの挑戦状」が届きます。そして、密室状態の現場から盗まれたあるものと犯人を追う為、実行委員会だけではなく天乃原周やミステリ研、学園祭を訪れていた高校生、魔術師である佐杏冴奈に加えて、魔術師を「オズ」に囲い込み管理する「魔術師の大敵」フィラメル・スピノーヴァまでもが暗躍します。

 シリーズの「第一期」が終了という節目の作品。
 複数視点で群像劇的な要素も取り入れて展開する本書では、佐杏先生の出番も少ないですし、多くの物語が語られるので主人公が主人公としての存在感を示すのは、結末に近づいてからとなります。それでもなお、第一作から「騙り手」であった主人公がいてこその、結末の多重構造という本作での一番の見どころが演出されていると言えるでしょう。