読み進めるうちに何となく前巻の内容は思い出せたものの、数が多い上に書き込みの浅い登場人物が多過ぎて、正直なところ毎回名前が出てきてもそれが誰だったのかが思い出せないこともある辺りが長編としては厳しいところ。
また、この辺りは個人の好き嫌いの範囲なのでしょうが、シリアスな場面で長々と掛け合い漫才のような会話が進められることに、登場人物の人物造形の面で、ある程度読み手に引っかかりを感じさせる可能性も皆無ではないでしょう。
ほんの僅かなタイミングの狂いや躊躇いで、ことごとく事態が裏目に出る、という展開にはストーリーテリング上の上手さも見られますが、いずれにせよ次巻以降での展開がどうなるのかにかかってくるように思われます。様々な要素を詰め込みすぎている部分など、作品初期の頃にはおそらく想定していなかった部分で、広がりすぎた風呂敷をどう畳むのか、あるいは畳めるのかが問題になるでしょう。