小路幸也 『僕たちの旅の話しをしよう』

僕たちの旅の話をしよう (MF文庫ダ・ヴィンチ)
山奥に住む少女が飛ばした風船に付けた手紙は、東京に住む三人の同年代の少年少女に届きます。そこから文通が始まり、都会に住む三人は夏休みに山奥の少女の家へ遊びに行く計画を立てるのですが…。
風船に手紙をつけて飛ばした山奥に住む少女を介して結びつき、それぞれの能力をもって困難を乗り越える3人の少年少女の物語。本書は、彼らのやりとりする書簡を軸に進める方式が、実に効果的に生かされています。
子どもであるがゆえの様々な制約と、子どもであるがゆえに、大人が受ける制約を飛び越えてしまう伸びやかさの両面が描かれており、本書は夏という季節にぴったりの良質のジュブナイルとなっています。