京都・大原

京都大原で、マリアの心臓が復活ということで、暫く前からずっと気になっていたのですが、この度、天野可淡展が開催されたので、私も日帰りの強行軍やらかしてきました。

3年ほど前に、東京では音羽鳩山会館でおよそ2週間の日程で開催された「大正ロマン人形展覧會」以来の展示で、しかも今回は天野可淡没後25年という節目もあり、主催の片岡佐吉氏のもの以外のコレクションからもカタンドールが集う貴重な機会だというので、一念発起。

とにかく行った人でなければ分からないという、独特で圧倒的な空気感がありました。
ごく普通の、今でも人が住むことのできる古民家の決して広くはない部屋に所狭しと並べられた人形は、そのほとんどがガラスケースも立ち入り禁止のロープもなく、隔てる物がまったくないからこそ、見る人と「同じ空間」に存在していることを強く意識させられる展示となっています。人形=ヒトガタということを肌で感じられる展示とも言えるでしょう。
「人形が怖い」と感じる人は、展示されている場に入ることも躊躇うかもしれません。

一階部分の畳敷きの部屋に集められた、暗く隠微な人形たちの視線がこちらへ集中するような凄味、奥の静かな部屋での天草司郎の清冽さ、着物地から作った緊縛のロープを思わせる赤いやわらかな紐に絡め捕られたかのように横たわるカタンドールなども印象的ですが、二階(というより、古民家の天井裏的な場所)での、四つん這いになって低い天井と床板の間に張り巡らされた柱や梁を潜りながら見て回る、下手をすれば人形にぶつかってしまいそうな距離感。そこでの人形との邂逅は、実に得難い経験でした。
天野可淡はじめ、有名人形作家やジュモーの人形を、まったく何も隔てることのない空間に惜しげもなく展示してくれているからこその異界感とでもいうべきものが確かにあり、あんな場所は他にはないのではないでしょうか。
体調が悪い時はマイナスの方に引っ張られるような、ある種のパワースポット的な磁場すら感じられる空間が、一軒の家の中に創り上げられています。


さて。
今回はマリアの心臓が目的でしたが、一応観光などもちらっと。
マリアの心臓が12時からでしたので、その前にまずは大原の先、古知谷阿弥陀寺まで行って来ました。

大原から歩いたら30分ほど、迷う心配はないわりと分かりやすい道でしたが、↑の門の先、お寺の敷地に入ってからがエライ傾斜の坂が待ち構えておりまして・・・。

本堂を前に、心が折れる坂道でした。観光客でにぎわう大原からちょっとの距離で、こんなに静かな場所があるのか・・・と思う反面、次回があれば是非とも大原からタクシーで上の方まで連れて行ってもらおうと、心に誓っております。

滝があったり、本堂のある上まで続くのは山から流れる小川沿いの道の端をサワガニが歩いていたりと、とても静かで綺麗なお寺です。


残念ながら樹齢800年以上と書かれた古知谷のカエデは、ほとんど葉が落ちていた状態でした。


天気予報では当初雨の予報だったので心配していましたが、行ってみれば紅葉越しに綺麗な青空。紅葉バッチリの時期に行けたら凄いだろうなと思います。


帰りの新幹線の時間などもあるので、あとはざっと三千院を見たくらいですが、近くに冬桜も咲いていました。


・・・いつにもまして駆け足で、結構無茶な日帰り京都でした(疲れが抜けない・・・)。