二十五年前に突然世を去った早逝の人形作家・天野可淡の球体関節人形「カタンドール」を、蒐集家で「マリアの心臓」のオーナー片岡佐吉氏が撮影した写真集。*1
本書は片岡佐吉ならではのカタンドールへのアプローチであり、京都大原の「マリアの心臓」での展示と同様、手を伸ばせば触れられそうなほどに近い、私たちの住む世界の中に生み出される異空間に存在する人形たちの姿を、闇の中に浮かび上がらせています。
創り手を失い、遺された人形たちが過ごした四半世紀をも感じさせるかのような一冊。
巻末のエッセイは、カタンドールの写真を表紙に用いた『緋色の囁き』にはじまる「囁きシリーズ」の著者、綾辻行人。