エリザベス・フェラーズ 『私が見たと蠅は言う』

私が見たと蝿は言う (クラシック・セレクション) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
一体どこで蠅が出てくるのだろうと思ったら、結構終盤でしたね。マザーグースが2箇所ほど使われています。
ただ全体的には中盤までの展開がやや地味な印象でした。
もちろん登場人物の誰もがひと癖もふた癖もあるので、それぞれのことが明らかになるにつれ面白くなってくるのですけどね。

面白かったのは、登場人物のほとんどが終盤に入ってそれぞれ違った事件の真相を推理する、言ってみれば推理合戦の様相を呈してくるあたりでしょうか。
そして何より、“駒鳥が死ぬのを誰が見た 私が見たと蠅は言う”というマザーグースの一節が暗示する、事件の結末での謎がとても鮮やかです。