米澤穂信 『ボトルネック』

ボトルネック
 恋した少女が2年前に死んだ東尋坊に来ていたリョウは、生まれてくることの無かったリョウの姉が彼の代わりに生きている世界へと飛ばされます。
 自分が存在せず、代わりに姉のサキが存在することによって、その世界はリョウの知るものとは少しずつ違ってきています。家族との関係、イチョウの木、そしてリョウの世界では2年前に死んだノゾミ。
 二つの世界の差異、それはそこに存在するのが自分であるのか、それともサキであるのか。そこから生まれてきた「違い」を探し出していくうちに徐々に明らかになる"ボトルネック"――それが無ければ物事がスムーズに効率良く流れる、言ってみれば阻害要因。
 物語が行き付く先でこのタイトルの"ボトルネック"の意味するものが明らかになった時の、たとえようも無い残酷さ、そしてどこまでも重い最後の1行。
 安易に感動を呼び起こす物語では無いけれども、それが故に心にずしりと来る1冊でした。
 残り丸々3ヶ月ありますが、これが今年のベストかもしれません。