社会的地位を得るために、バーナデットの父親は爵位を持つ未婚の男をなりふり構わず娘にあてがおうとします。ぜんそく持ちで体は弱いものの、情の薄い父親の思い通りになることを良しとしなかったバーナデットに手を差し伸べたのは、近くに牧場を構えているエドワルドでした。エドワルドはスペインの貴族の称号を持つものの、前妻を撃ち殺したという悪い噂も立っていますが、彼に思いを寄せていたバーナデットは喜びます。ですが、彼の祖母は従兄弟の女性をエドワルドの婚約者としていて――。
こちらもヒストリカルで、王道まっしぐらのロマンス小説といったところ。
あっさりと祖母や従兄弟の口車に乗せられるエドワルドは如何なものかとも思いますが、何よりも主人公の父親の変わり身の早さが素晴らしいです。
ただ、中盤までの話のテンポはもう少し盛り上がっても良さそうな気はしますし、エピローグの部分が冗長とは言いませんが、いかにも急ぎ足で付け加えたかのように駆け足であることが勿体ない気がします。