山口雅也 『古城駅の奥の奥』

古城駅の奥の奥 (講談社ノベルス)
 ミステリーランドに上梓された作品を改題したもの。
 東京駅という歴史的建造物を舞台にしたからこその雰囲気作りをなし得たといえるだろう一作。
 終盤はファンタジー色が強くなるので、純粋にミステリとして読むと拍子抜けする部分は無きにしも非ずですが、何といっても東京駅という舞台が実に魅力的に描かれます。虚実が入り混じり、実在の東京駅の姿の裏に幻想を垣間見せられるような一作。