堀江あき子=編 『栗本薫・中島梓−JUNEからグイン・サーガまで 』

栗本薫・中島梓---JUNEからグイン・サーガまで (らんぷの本/マスコット)
 昨年亡くなった栗本薫の回顧・追悼本的な1冊。
 故人にゆかりのある美術館の学芸員による編著というものらしいので、栗本薫中島梓の生前の作品への踏み込んだ評論などはないものの、広く浅く、また様々な写真資料とともに、栗本薫という作家の軌跡の一端を纏め上げたものとなっています。
 とはいえ栗本薫という人は、作家としての仕事だけでも、ファンタジー、伝奇、時代物、SF、ミステリなど、あまりにも膨大で多岐なジャンルに渡っているため、この1冊で全てを網羅することは到底不可能だったのかなという印象も。
 それでも栗本薫自身のエッセイや自筆原稿、ノート、彼女の私物の写真などの貴重な資料が掲載され、表現者としての栗本薫の世界の一端を見ることが出来ます。
 最後の闘病記ともなった『転移』(2009)を読んでいただけに、色々な感慨が浮かんできます。