リンダ・ハワード 『凍える心の奥に』

凍える心の奥に (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
 ポートランドに住んで仕事をするロリーが故郷の家を処分することになり、一人静かに思い出に浸るために、久々に故郷に帰ってきます。ですが、メルセデスに乗っていたがために、覚せい剤中毒の男女の強盗に目を付けられ、ロリーは窮地に追い込まれることになります。吹き付ける着氷性の雨アイスストームがやってくることを知らずに、山の上で電波も届かない家にいるだろうロリーを心配し、保安官の息子のガブリエルは彼女を迎えに山に出発しますが…。

 もう少し登場人物の書き込みをしても良かったのではないかとは思いますが、実にアメリカ映画的な起伏に富んだ構成で組み立てられた物語として、テンポよく読める一作。
 サスペンス部分にしても、ロリーを襲う覚せい剤常用者の男女をもっと怖ろしい存在として際立たせれば、S・キングばりの怖さも出てきて面白かったのではないかという気もします。
 全般的にやや薄味で、ストーリーの割にはいろいろな面であっさりしていたかなという印象。