アガサ・クリスティ 『書斎の死体』

 気が付いたら週の後半全く本を読んでいなかったようで。
 リハビリがてら手をつけたのはミス・マープルのシリーズだったりします。そういえば以前も何日か本を読んでいなかった期間の後、最初に読んだのはマープルものでした。確か『バートラム・ホテルにて』だったのではないかと。
 確かにクリスティの作品と言うのはどれを取っても極端にハズレは無いので、安全パイだったりするのですが。
 とは言え本当なら、19日頃発売予定だった恩田陸の新刊『黄昏の百合の骨』を読んでいる予定だったような気もします。こちらは3月上旬に発売延期だそうで。


 さて。
 本書はミス・マープルものとしては第2作目の長編になるのですが、他の作品を先に読んでいた私にはヘンリー・クリザリング卿だのバントリー夫妻だの、他の作品で出てきた名前が出ているだけで楽しくなってしまいました。
 書斎からブロンドの女性の死体が発見され、しかもその女性が誰なのか分からないという状況は、確かに不可解ではありますが、シチュエーションとしては結構ミステリの世界ではありがちかもしれません。(事実、クリスティもその「ありがちな状況」を逆手にとってこの作品を執筆しようと思い立ったわけですし)
 でもラストで真相が解明されると、事件の幕開けの「ありがちな状況」が全く違う意味を持ってくるんですよね。上手いなぁの一言です。
 犯人そのものは決して「意外」というほどではないでしょうけど、事件の真相の意外性という面では私には結構大きかった用に思います。