殺されて地縛霊になってしまったハードボイルド探偵ジャック・シェパードと、町の小さなミステリ書店の共同経営者をしている女性ペネロピー・マクルアが、お互いを補い合って殺人事件を解決する物語です。
序盤からコミカルなタッチで物語りはテンポ良く進められ、幽霊と言う存在を上手く使ったミステリに仕上がった作品だと言えるでしょう。
衆人環視の中、誰が書店で行われていたイベントの最中に人気ミステリ作家を殺したのか。その関係者それぞれの怪しい行動といい、一癖もふた癖もある個性といい、非常に上手く纏まった作品です。
ただそれだけに目新しさという点では今ひとつサプライズに欠けていますし、事件の結末に関しても、真相の出し方が平坦であったために今ひとつ意外性には欠けているように思えます。
とはいえ登場人物たちの掛け合いの軽妙さや、ラストで真犯人と対決する際の駆け引きの面白さは十分に楽しめました。
シリーズとしてはこれが1作目で、2作目までは本国では刊行されているとの事で、続きでこのジャック・シェパードの死の真相が明かされるのを楽しみに待ちたいと思います。