病院で起こる不可解な死と、その周辺に囁かれる少女の幽霊。その謎についての依頼を受けた八雲、そして八雲の周辺で暗躍し続ける赤い目の男に浅からぬ因縁びあry七瀬美由紀は、逮捕され収監されながらも、そこから八雲の叔父である一心を殺害することを予告します。
シリーズの終盤に入り、一連の続き物としての大きな山場となる本作ですが、シリーズの終盤に突入する時点に配置された作品としては、良くも悪くも定石どおりの急展開となっていたと言えるでしょう。
文庫になれば上下二巻という分量で、しかもある程度マンネリも割けられない程度にはシリーズを重ねてきたにもかかわらず、中だるみしないで読ませる展開の運びの上手さはや、リーダビリティの高さや読者をひきつける読みやすい文章と言う部分は評価できるものの、どうも全般的に「型通り」で「薄い」印象が抜けないのは、損をしているような気もします。
また、そう何もかもを伏線として繋げてしまうと、さすがにやり過ぎの感を否めない点は指摘できるかもしれません。
ただ、シリーズを重ねる中で、脇役たちの掘り下げが進み、さらに今後の結末へと向けての体制が、本作において一層固められたということはあるかもしれません。