SCAR SYMMETRY "The Unseen Empire"(2011)

アンシーン・エンパイア
Unseen Empire
国内盤のアートワークが出なかったので、とりあえず輸入盤の方も掲載。ボーナストラックなどはないので、ライナーノーツや対訳が必要なければ、輸入盤でも良いのかもしれませんが、個人的には国内盤の方のアートワークの方が好きです。
スウェーデンメロデス、スカー・シンメトリーの5thアルバム。
3枚目のアルバム"Holographic Universe"を最後に、Vo.とギターを担当していたクリスチャン・アルヴェスタムが脱退し、新たにクリーンとデスを担当する2人のヴォーカリストを加入させ、メロデス・バンドとしての原点回帰を果たしたとも言える前作と比べると、本作はメロディはよりドラマティックになり、洗練された音作りに成功していると言えるでしょう。
本作ではメロデス「デス」の部分の比重は少なくなっていますし、コンセプトアルバムとしてはやや食い足りなさのようなものも感じはするものの、プログレ的なアプローチも盛り込まれ、前作よりも格段に洗練されバンドとして進化が見られるアルバムとなっています。
ですがその半面、多くのメロデス・バンドが陥る宿命からはこのScar Symmmetry も逃れられないのか、洗練されればされるほど、どこか牙を抜かれたように綺麗に纏まる傾向が見え隠れするような印象も皆無ではありません。
その意味で前作"Dark Matter Dimensions"では、垢抜けない部分はあれど、メロデスらしいメロデスとして、今後の可能性を期待させる何かがあったようにも思います。
とはいえ、デスとクリーンの二人のヴォーカリストによる、対照的でありながら相性の良い声が重ねあわされる掛け合いは、前作以上にその威力を発揮する編成を見せ、クリスチャン・アルヴェスタムが一人でデス/クリーンのヴォーカルを使い分けていた時には出来なかった広がりを実現するようになています。
また、随所に見られるギター・リフの素晴らしさや、どの曲にも必ずと言って良いほどある"聴かせどころ"が盛り込まれるあたりなど、このバンドならではのセンスと上手さを感じさせるものと言えるでしょう。