こちらは以前に借りたシリーズ物の最新刊。『〜の花嫁』というシリーズはここで打ち止めとのこと。
同じ世界を共有しつつ、時代を少しずらし、人物を次々に作り上げていく、シリーズ全体で描かれる群像劇ですので、やはり単品で評価すべき作品では無いでしょう。
ほぼ全てに共通するのは、それなりに高貴な身分の女性が政略結婚の道具にされながらも、それぞれの幸せを掴んでいくというストーリー。そこだけを見ればありきたりで陳腐なものになりかねませんが、物語のバックボーンとなる世界観や直接的に描かれることは無い細かな設定が生きていると言えるでしょう。
中華風ファンタジーというか、漢字圏の架空物語というか、こういうジャンルも、小野不由美の十二国記を筆頭に、一時の人気やブームに留まらず、確実に地に足のついた作品群を生み出しているのかもしれません。