エリス・ピーターズ 『修道士カドフェルの出現 修道士カドフェル・シリーズ21』

修道士カドフェルの出現—修道士カドフェル・シリーズ〈21〉    光文社文庫

 シリーズ最終作の本書は、シリーズの短編3編が収録されています。
 まずはカドフェルがシュルーズベリの修道院に身を寄せることになるきっかけとなる事件を描いた『ウッドストックへの道』。
 次が第1巻『聖女の遺骨求む』よりも少し前の話に当たる『光の価値』。
 最後はオズウィンを助手にしており、修道院の院長がラドルファス院長になっている時代の『目撃者』。
 短編ということで、シリーズを通して物語の背骨となっている、イングランドの内乱には触れられておらず、そのために非常にシンプルに事件と人間模様が描かれています。
 ただやはり、これでカドフェルの新しい物語を読めなくなるのだと思うと、分量的には物足りない気がしてしまいます。20巻の『背教者カドフェル』が、偶然とはいえ最終作に相応しい内容になっていたとはいえ、正直まだまだ読み足りないというのが本音。
 定期的なペースでこのシリーズをずっと読めていたので、ひとつ楽しみが減ってしまったなと言う感じですね。
 巻末に付録として収録されている、シリーズガイドを読んで、これまでの20冊を振り返ってしまいました。